こだわりが強くなる。TBS報道特集「震災と自閉症」を見て。
今日のTBS報道特集では、重度の自閉症である小野寺凌くんが、東日本大震災の3年後である現在、どのように生活しているかを紹介していました。
小野寺さん一家は宮城県気仙沼市本吉町に住んでいて、震災当時、津波による被害で家が半壊状態となりました。
家がそのような状態でも、小野寺さん一家は避難所で生活することはせず、電気も水道も使えない半壊状態の家に留まることにしました。
自閉症である凌くんが大声を出したりして、避難所の人たちに迷惑がかかると思ったからだそうです。
その当時の凌くんは、夜にテンションが上がることが多くなる、暴れたりするようになりました。
環境の変化や不便な生活のストレスが、言葉で表現できずにそのような行動に表れたのでしょうか。
震災発生2ヶ月後、凌くんは仙台市泉区の公明支援学校に入ることになります。
凌くんを慣れない場所へ行かせることは、お母さんにとって苦渋の決断だったそうです。
また2ヶ月がたち、地元の支援学校で受け入れの目途がたったため、凌くんは本吉町の自宅に戻りました。
しかし、ようやく帰ってきた地元は、凌くんの記憶にある本吉町の様子とは違っていました。
凌くんはだんだんとこだわりが強くなり、激しく暴れるようになりました。
震災後、凌くん以外の自閉症の子も、激しく暴れるようになった子がいるそうです。
番組では、凌くんが暴れている様子を撮影し、医師で日本自閉症スペクトラム学会会長の市川宏伸先生に見てもらいました。
「まわりの人たちも震災によって我慢をしていることは直観的にわかるので、自閉症の子も彼らなりに我慢をしてきた。それが、いつまで我慢すればよいのかがわからない状況になり、一段と不安や緊張を高め、怒りやこだわりやパニックといった症状につながっていっているのだと思う。」と市川先生は話しています。
凌くんのお母さんの明美さんは、「震災で心に傷を負った子供だちの安らげる場所を作りたい」と思い、そのような施設を立ち上げることを思い立ちます。
自閉症やダウン症などの障害を持つ子の母親たちが結束し、2月11日に「ほっぷ」という障碍者福祉施設が開所することになりました。
「ほっぷ」は当面、放課後や休日の一時預かりからはじめるそうです。
番組では、震災後ひどくなったという凌くんの「こだわり」をたくさん映していました。
娘が療育センターへ4年近く通って思うことは、療育のおかげか、自閉症の子は年齢とともにこだわりが少なくなってきているな、ということです。(娘のことだけでなく)
きっと、震災前までは、お母さんやまわりの人の適切な対応と療育によって、幼い頃からのこだわりは減っていたのだろうと思います。
それが、震災による環境の変化をきっかけに、振り出しに戻ってしまったような感じでしょうか。
振り出しに戻ったとしても、福祉施設を立ち上げたり、お母さんたちは力強く前を向いて歩んでいます。
「母は強し」ですね。
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