障害があってもできること。Eテレ ハートネットTV「ぼくたちのサイン~難聴のエースと仲間たち 最後の夏~」
今日のNHK Eテレ「ハートネットTV」は、「ぼくたちのサイン~難聴のエースと仲間たち 最後の夏~」というテーマでした。
甲子園に3度出場した経験のある島根県の益田東高校野球部。
チームのエース、3年生の廣中蒼磨(ひろなかそうま)くんは先天性の難聴です。
チーム内での廣中くんとのコミュニケーションは、はじめは筆談だったそうですが、時間がかかって面倒だったこともあり、部員全員が50音の指文字と簡単な手話を覚え、指文字と手話で話ができるようになりました。
私も指文字を覚えたことがありますが、日常的に使わないとすぐに忘れてしまいますね。
部員の人のコメントでは、「俺3日で覚えたわ」、「俺は1週間で覚えた」と言っていましたが、10代の若い人の記憶力は素晴らしいですね。
コントロールに自信があったはずの廣中くんですが、5月あたりから不調になり、コースの甘い投球をしたりするようになります。
投球が不調である原因を自分から突き止めようとせず、配給もキャッチャーに任せきりの廣中くんに対して、仲間たちは厳しくもあたたかいアドバイスをします。
「お前いつも(指示を)まってるやろ?ピッチングが終わったら、誰かに自分から積極的に聞きに行け。試合で投げてんねんから、お前、耳聴こえないの関係ない。」
「お前ピッチング、監督見すぎ。キョロキョロしすぎ。バッターに対してケンカしてんねんから、もっと強く。」
「俺も打てんときだってあんねん。お前たちピッチャーを助けきれないけど、それでも、お前たち頑張って投げてるから、助けてあげたい気持ちはお前ら以上にあるから。投げてみ。全力で。」
というようなことを指文字と手話で丁寧に廣中くんに伝える部員たち。
エースである廣中くんを支えようとする姿が感動的でした。
監督が皆に話をするときなど、その場で廣中くんに指文字や手話で伝えてくれる部員がいますが、「いつも誰かが情報を与えてくれる」という環境で、廣中くんは次第に受け身の姿勢が身についてしまったのかもしれません。
障害のある人が、サポートされるうちに、自分でできることまでお任せになってしまうことはよくありそうなことですね。
私も、娘に「どこまで手助けしようか?」と迷うことがありますが、過剰な手助けは甘えを生んでしまうだろうし、かといって、何の支援もしないということもできないし、見極めが難しいところです。
廣中くんは仲間から的確な指摘を受けてから、意識が変わります。
コントロールの安定に欠かせない下半身を鍛える走り込みを強化し、練習中も自分からアドバイスを求めに行くようになりました。
そして迎えた第96回全国高校野球選手権 島根大会の初戦、益田東高校 対 立正大淞南高校。
結果は涙の敗退でしたが、試合中、廣中くんを仲間が励ます場面が度々あり、絆の深さを感じました。
高校野球。
毎年、心に残る選手や試合があって、ドラマチックですね。
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