障害者のコミュニケーション能力。ろーかる直送便「ボールで障害を跳び越えろ~もうひとつのW杯~」を見て
今日、NHK Eテレ「ろーかる直送便 」という番組の「ドキュメント挑」という枠組みで「ボールで障害を跳び越えろ~もうひとつのW杯~」というテーマのドキュメンタリーが放映されていました。
現在、ブラジルでFIFAワールドカップが開催されていますが、知的障害者のサッカー国際大会も8月にブラジルで開催されます。
その日本代表に選ばれた大分市の谷口拓也さん(18歳)に密着したドキュメンタリーでした。
谷口さんは幼稚園のときにお兄さんの影響でサッカーをはじめました。
地元のサッカーチームで攻撃力のある選手として活躍し、小6のときに、大分県の大会で優勝を果たしたそうです。
しかし、谷口さんは中学入学後、監督の高度な指示がなかなか理解できず、連携プレーに支障が出るようになりました。
自信をなくした谷口さんは、中学卒業と同時にサッカーをやらなくなったそうです。
高校から大分県立大分支援学校に進学した谷口さんは、学校の先生やお母さんの秀代さんの勧めで知的障害者のサッカーチーム「さかたの」へ入ります。
「さかたの」への参加が最初は嫌々だった谷口さんですが、同じ障害のある仲間とプレーをしているうちに、徐々に自信を取り戻していきました。
そして、九州選抜、全国大会を経て、2013年12月に日本代表に選出されました。
「みんなから信用されるようなストライカーになりたい」と言う谷口さん。
表情が自信に満ち溢れていました。
3月に支援学校を卒業した谷口さんは、4月から鹿児島市で介護用品レンタル会社に勤務しながら日本代表として練習に励みます。
学校を卒業して2週間後から、日本代表としての合宿練習がはじまりました。
選手たちは身体能力が高く、シュートなどの個人プレーではハイレベルな技術を見せますが、コミュニケーションをとるのが苦手なので、大きな声が出せなかったり、声を出すべき場面で黙っていたりして、連携プレーがなかなか成功しません。
日本代表監督の小澤通晴さんは、20年にわたり、知的障害者のサッカーの指導をしてきた方ですが、世界と互角に戦うには、弱点であるコミュニケーションの力を少しでも向上させたいと考えていました。
そこで小澤監督は、合宿の最終日、健常者の高校生チームと練習試合を組むことにしました。
高校生チームが声を大きく張り上げてプレーする中、谷口さんたち日本代表チームはなかなか声が出せません。
次第に相手のペースに持っていかれ、やがて失点を許してしまいます。
3試合目になって、小澤監督から「圧倒的に相手の方がよくしゃべっている。スピードが上がってきたら、言葉で受け渡さないと間に合わないよ。わかってるだろうとか、どっちが?とかやっているうちにどんどん行かれちゃうよ。」と指摘され、選手たちの意識がかわってきます。
試合開始後8分で日本代表チームにボールがまわるようになりました。
最初のゴールが入った後、谷口さんは、「いいよ、こっち、こっち」と声を出してパスを求めました。
そして谷口さんは「フォア!フォア!」と大きな声でクロスボールを求め、シュートを決める瞬間が訪れます。
このとき、谷口さんは、晴れ晴れした表情をしていました。
「コミュニケーションが苦手で自分の世界に閉じこもりがちな知的障害者」と番組のナレーションで語っていましたが、自閉症スペクトラムではない知的障害者もそうなのでしょうか。
私の子供はまだ小学1年生だし、思春期以降の知的障害者の方に会う機会があまりないのでよくわからないのですが、子どもの頃は自分から話をすることができても、知的障害ゆえに失敗の体験を重ね、思春期以降に自信がなくなってしまう人が多いということでしょうか。
このブログでも度々書いていますが、私の娘は家族以外の人に自分から話をすることができなくなってしまったので、今日見た番組は心に響くものがありました。
8月にブラジルあるという知的障害者のサッカー国際大会ですが、是非見たいので、どこかのテレビ局で放映してくれるとうれしいです。
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