瞑想は自閉症に効果あり?Eテレ サイエンスゼロ「“ぼんやり”に潜む謎の脳活動」を見て
昨日のNHK Eテレ 「サイエンスゼロ」は、「“ぼんやり”に潜む謎の脳活動」というテーマでした。
自閉症やADHDにも関連があって、なかなか興味深い内容でした。
サッカー日本代表キャプテン・長谷部誠選手とコンピュータ技術の世界的革命児スティーブ・ジョブスの共通した習慣が、「ぼんやりと何もしない時間を持つこと」なのだそうです。
脳科学分野では今、「何もしないときの脳の働き」に注目が集まっているそうです。
頭の中が整理され、すっきりする感覚が得られるとのことですが、それって昔からある「瞑想」の効果としても言われていることですよね。
意識としてはぼんやりとしていても、脳は勝手に活動をしてくれています。
人が活動するときのエネルギーは、1日におよそ2,000kcalと言われています。
そのうち、約20%(400kcalほど)を脳が消費しているのだそうです。
仕事をしたり料理をしたり本を読んだりといった意識的な活動に消費されるエネルギーはたった5%だけなのだそうです。意外ですね。
マーカス・レイクル教授は、最初に「ぼんやり」としているときの脳の活動に注目した人で、何もしていないときに脳が消費するエネルギーは膨大であると話しています。
意識的な活動をしているときに血流が低下する領域があって、それは、後部帯状回と前頭葉内側という所です。
後部帯状回と前頭葉内側は、脳内の離れている部位であるにも関わらず、意識的な活動をしているときも、そうでないときも、同じパターンで活動をしているという実験結果があります。
情報通信研究機構 総括主任研究員の宮内 哲さんは、後部帯状回と前頭葉内側が同期して活動していることについて、その理由は明らかにされていないが、ある特定の機能を果たすために、協調して活動しているのではないか、と話していました。
この後部帯状回と前頭葉内側が同期して働く現象を、ワシントン大学のマーカス・レイクル教授はDefault Mode Network(デフォルトモードネットワーク)と名付けたそうです。
デフォルトモードネットワークは何もしてないときに働くネットワークです。
このネットワークについて、明らかになっていないことばかりですが、研究者はいくつかの仮説を立てていて、自己認識、見当識、記憶に関わることではないかと言われているそうです。
デフォルトモードネットワーク以外にも、安静時に脳内の複数のネットワークが同調して働いていると、島根大学医学部 小野田慶一 講師が話していました。
50歳未満の人の脳と、70歳以上の人の安静時の脳のネットワークを比較した結果、後部帯状回と前頭葉内側をつなぐネットワークが、70歳以上の人の脳はなくなっていました。
加齢に従って、後部帯状回と前頭葉内側のような遠くの領域とつながりを持っている領域が影響を受けて、認知機能の低下や運動機能の低下につながっていると考えられているそうです。
離れた領域を結ぶネットワークの減少は、判断や反応にかかる時間が遅くなるということにもつながります。
また、健康な人のデフォルトモードネットワークとアルツハイマー型認知症患者の原因物質の分布は同じ形状をしていて、何らかの関連があることを物語っているそうです。
アルツハイマー型認知症の人は、デフォルトモードネットワークのつながりが弱いという実験結果も出ています。
軽度認知障害にもデフォルトモードネットワークのつながりが弱い結果が出ていて、デフォルトモードネットワークの同期状況を検査することは、認知症の早期診断につながるのだそうです。
さらに、デフォルトモードネットワークの同期の異常は、うつ病、自閉症、統合失調症、ADHDにも関連しているということも番組で説明していました。
自閉症やADHDとの関連について知りたいところですが、番組ではそのことについては深く掘り下げることはありませんでした。(残念)
そこで、デフォルトモードネットワークと自閉症との関係をネットで調べたところ、名古屋大学のサイトに、「安静状態の脳活動パターンが自閉症スペクトラム傾向に関与している」という論文が掲載されていました。
結論としては、自閉症の人のデフォルトモードネットワークは機能的連結が弱いということが明らかになったそうです。
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