発達障害児の療育ブログ 発達障害のテレビの感想

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アスペルガー症候群の子(さや)を育てています。 3歳のときから療育しています。 アスペルガー症候群・自閉症・ADHDなど発達障害に役立つ情報の提供を目指しています。 ABA・TEACCHなどの方法のほかに、効果的だったことも紹介します。

06/06

Fri

2014

ハートネットTV「シリーズ 選ばれる命 第3回 誰が決める?命の価値」を見て

 シリーズとして連夜放送していたNHK Eテレ ハートネットTV「選ばれる命」ですが、第3回は「誰が決める?命の価値」というテーマで、命の選定が進んだ先に、どのような社会が待ち受けているのかを考えていくような内容でした。

 番組の最初では、東海大学で開催している遺伝子教室の様子を紹介していました。
 遺伝子について意識付けするために、東海大学健康科学部看護学科 助教の森屋宏美さんは、未就学児を対象としたセミナーを試験的に行ってます。
 遺伝子について知ることで、自分自身が尊い命であると気づき、人間の多様性も理解することが大きなねらいなのだそうです。


 次に、日赤医療センター付属乳児院の現状を紹介していました。
 この乳児院にいる子の半数は障害児です。
 今田義夫院長は、ここ数年でわが子の障害を受け入れられない親が増えていると感じているそうです。

 「義務感だけで、障害をもった子供の子育てはなかなかできるものではないから、周囲のサポートは当然必要。
 しかし、そのサポートは今、不足している部分が多いと思う。
 そんな環境で母親だけが頑張っても、追いつかない部分というのはあるので、一時的な形でもレスパイト(家族のための代替ケア)を提供するために我々が子供を預かっている側面もある。

 一定の頻度で障害児が生まれてくるのはこれからも続くだろうと思う。
 動物の世界は弱肉強食だけど、弱者を容認していけるというのは人間のもつ一番素晴らしい所だと思う」


 出生前検査の先進国といえばアメリカですが、アメリカにある検査会社も取材していましたが、世界60ヶ国に市場を広げるナテラという会社です。
 ナテラ社CEOのマシュー・ラビノヴィッツさんは、
「検査の目的は、妊婦に安心を与えること。妊娠初期に検査を受けることで、妊婦には多くの情報を与えることができる。私どもの検査は、妊娠9週目という早期に受けられ、結果もすぐに出ます。
 中絶しても出産しても、信頼できる完璧な情報を得るのは妊婦にとってよいことなのです。
 その情報をどのようにして使うかは、あくまで患者と医師しだいです。」
 と、ナテラ社の出生前検査の確実性について話します。

 ナテラ社の出生前検査は、愛知県の胎児生命科学センターという民間企業で受けられます。
 13番、18番、21番染色体以外の染色体の検査もできるそうです。

 
 番組中盤では、出生前検査に頼ることに、疑問を抱く人を紹介しています。

 出生前検査を受けて、結果しだいでは中絶も考えていたという女性ですが、検査結果は異常なし。
 その後男の子を出産したそうですが、1歳を過ぎたあたりから、その成長に違和感を感じました。
 そこで母子手帳の成長の項目に照らしてみて、順調に成長していないことに気づきます。
 そして、医師から「自閉症」の診断を受けたのです。
 
 「今まで、自分の中で思い描いていた将来が全部崩されてしまった」
 自閉症と診断を受けたときの女性の気持ちです。

 しかし、女性は自閉症の男の子を育てていく過程で、徐々に考えが変わっていったそうです。

 「大変なことばかりで、こんな子もういらないと思うこともたくさんあるけれど、それでも、この子がいないと私はつまらないし、この子が大切、という思いが出てきた。
 障害のある子が生まれてきて、苛められたりつらい思いをして可愛そうだから中絶しようといいうのは親のエゴではないか。
 子供が困ることのないよう、全力で育てようというのが愛情だと思う。」


 一方で、「出生前検査を必要とする母親は多い」と考えている人もいます。
 名古屋市立大学名誉教授で産婦人科医の鈴森薫先生は、ダウン症の子を出産したある女性のことが忘れられないそうです。
 
 「この子の一生を私と主人だけでみていくのはかなり厳しいものがある。次の子は是非健康な子供を産みたい。」

 その言葉を受けて、鈴森先生は第二子、第三子のときに羊水検査を行ったそうです。
 その母親と鈴森先生は、30年間手紙のやり取りをしているそうですが、最近受け取った年賀状に、「私も60歳になり、やっとダウン症の子供が介護施設に入ることができるようになりました。これから私の人生が始まるような気がします」という母親の本音が書かれていたそうです。

 それを見た鈴森先生は、ダウン症の子を授かって、必ずしも幸せだとは言い切れないと感じたそうです。
 「パーフェクト・ベビーい近づけることが理想であり、そのために、
13番、18番、21番染色体以外の疾患についても診断できるのであれば、診断していくのが正しいと思う。」


 
 またさらに一方では、埼玉医科大学総合医療センター 
小児科教授兼センター長田村正徳先生は、新生児の命を救う仕事を通して、胎児の障害を理由にした中絶には慎重であるべき、と考えているそうです。

 「私が研修医だったとき、18トリソミーの子のほとんどは1歳まで生きられず、寝たきりで、笑うことも、泣くこともできないので、生まれたときに蘇生しないと教わり、教科書にもそのように書いてあった。
 しかし、あるとき、18トリソミーの子で、ダンスをしたり、駆けっこをしている子のビデオを見て、我々は今まで何をしていたんだろう、こんな可能性のある子に対して、蘇生しないなどという対応をしていたなんて。なんて罪深いことをしていたのだろう、と思った。
 たとえ短い時間であっても、家族と過ごす時間を作ってあげるのが、小児科医の仕事なのではないか。」




 番組で、いろいろな人の意見を見たわけですが、まさに賛否両論。
 経験や自分の置かれている立場によっても、考えは違ってきそうですね。

 私は、私の娘がアスペルガー症候群であると知って、その下に子供を作ることをやめました。

 もう一人、障害のある子を育てる自信がないということもありますが、下に健常の子が生まれたとしても、上の子がなにかと優先になってしまうことで、我慢ばかりを強いることになると思ったからです。

 上の子が障害のあるからといって、下の子に必ず我慢を強いることになるわけではありませんが、私の娘は情緒面で難しいところがあり、「お姉ちゃんはなんでしょっちゅう怒っていて、床に転げまわって暴れているの?」と下の子に言われて、「お姉ちゃんは障害があるからよ」とは、子供が小さいうちは、私は言えません。
 本人にも告知していないのに、下の子に先に言うことは憚られます。

 激高型のアスペルガーの子に多いと思いますが、怒っているときやイライラしているときの暴言の酷さは本当に半端ない。
 親だから耐えますが、きょうだいにそれを我慢させるのは可愛そうに思うのです。

 我が家は第一子に障害がありましたが、第二子以降の場合などもまた、違う考えになってくると思います。
 障害があるといっても、性格が穏やかな子である場合もあるし、状況はそれぞれ違うので、本当に、いろいろな考え方があってよいと思うのです。

 身内に障害者がいる場合も、経験によってその人なりの考えが形成されていることもあるでしょうし。


 ところで、私が学生の頃に見た映画で、遺伝子についてテーマにしたにも関わらず、どこかヒューマンな内容の作品がありました。

 自然に生まれた心臓に欠陥のある兄と、遺伝子を選定して生まれたパーフェクトな弟の物語。
 
 もう一回、見てみたくなりました。


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関連記事(1):ハートネットTV「シリーズ 選ばれる命 第2回 出産・母親たちの苦悩」を見て 






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自己紹介:
 アスペルガー症候群の子を育てている主婦です。療育や幼児教育に関心があり、読書の幅を広げています。

現在千葉県に住んでいます。出身は静岡県です。

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