滋賀県湖南市にある知的障害児入所施設「県立近江学園」で、50代の女性保育士が、入所している女児3人に対し、髪を引っ張るといった虐待をしていたことが判明したというニュースを見ました。
近江学園といえば、保育士試験にも出題されるような有名な学園です。
以前、このブログでも日本で最初の知的障害者のための福祉施設・滝乃川学園について書いたことがありますが、日本に社会福祉の概念が広がるようになるには、様々な人の尽力が必要でした。
過去の偉人のおかげで今の私たちは行政の福祉サービスを受けることができるわけです。
今回、虐待事件のあった県立近江学園ですが、設立当初は崇高な理念がありました。
その理念はどこかへ行ってしまったのでしょうか。
今日は近江学園の歴史と今回の事件の背景について書いてみたいと思います。
近江学園と糸賀 一雄の歴史
~Wikipediaより~
近江学園は昭和21年、大津市南郷に糸賀一雄氏らによって創設され、昭和23年に県立の児童福祉施設となりました。
糸賀 一雄(1914年3月29日 - 1968年9月18日)は、日本の社会福祉の実践家です。
知的障害のある子どもたちの福祉と教育に、一生を捧げました。
日本の障害者福祉を切り開いた第一人者として知られており、「社会福祉の父」とも呼ばれています。
糸賀 一雄の「この子らを世の光に」という言葉は有名で、知的障害児について、「この子らは、みずみずしい生命にあふれ、むしろまわりの私たちに、そして世の人々にも、自分の生命のみずみずしさを気づかせてくれる、すばらしい人格そのものです。
この子らこそ世の光であり、世の光たらしめるべく、私たちは、努力しなければなりません。」と述べています。
事件の概要
2014年6月、近江学園内で暴れていた小学生の女児の頭髪を50代の女性保育士が引っ張りました。
また、同時期に、学園内で中学生の女子生徒に対して生活態度を注意していた際、頭をたたき、「(女子生徒は)いらんことだけして、何もできひん」などの暴言を浴びせるなどしました。
保育士の行為を見ていた他の職員が、上司に報告。
学園側はすでに、3人の保護者に謝罪をしました。
県は女性の処分を検討しています。
同学園では2013年12月にも、男性保育士が入所している男児に「殺すぞ」と暴言を浴びせたことが分かり、県がこの保育士に口頭で注意をしています。
さらに遡ると、2009年3月にも入浴中の男性園生(当時24)が浴槽に沈んだことに気付かず水死させたとして、業務上過失致死の疑いで、同施設の大津市黒津1丁目、当時園長(61)と、入浴時の介助を担当していた近江八幡市西庄町、男性職員(46)を書類送検したこともありました。
どうしてこんな事件が起きたの?
私が思うところでは、施設の職員の質と量の問題のような気もしています。
近江学園だけでなく、福祉施設は人材不足が叫ばれています。
人手がなくて、職員の仕事が過酷になると、人の心は荒んでくることもあるかもしれません。
近江学園は福祉の歴史を背負った施設ではありますが、年月が流れ、設立当初の理念が忘れられてきているのでしょうか。
今、もう一度、社会福祉について人々が再確認すべき時期にさしかかっているように思います。
こんな動画があったよ(削除されてたらごめんなさい)
ま と め
・県立近江学園で虐待事件。過去にも死亡事件などもあった。
・近江学園は日本の社会福祉の歴史を背負った有名な学園。
・事件の間接的な原因は人手不足?
関 連 記 事
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吉永小百合さんは福祉の味方。いいとも最終回の出演で話題に。
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NHK Eテレ ハートネットTV「増える20代の〇〇」を見て
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「子ども虐待という第四の発達障害」を読んで。虐待は脳を萎縮させる。