発達障害児の療育ブログ ダニエル・キイスさん逝去。キイスさんから見た知的障害者とは。「アルジャーノンに花束を」

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アスペルガー症候群の子(さや)を育てています。 3歳のときから療育しています。 アスペルガー症候群・自閉症・ADHDなど発達障害に役立つ情報の提供を目指しています。 ABA・TEACCHなどの方法のほかに、効果的だったことも紹介します。

06/18

Wed

2014

ダニエル・キイスさん逝去。キイスさんから見た知的障害者とは。「アルジャーノンに花束を」

世界的な大ベストセラー、「アルジャーノンに花束を」の作者、ダニエル・キイスさんが6月15日に逝去されたそうです。


 私は中学の頃、「アルジャーノンに花束を」を読んで夏休みの読書感想文を書いた記憶があります。
 日本でもユースケ・サンタマリアさん主演でドラマ化されたことがありますね。

 
 「アルジャーノンに花束を」は、知的障害者の青年チャーリイが主人公です。
 チャーリイは善良で親切な大人しい性格の青年です。
 IQが60代のチャーリイですが、開発されたばかりの脳の手術を受けると、IQがだんだんと上がっていき、ついには180代の知的能力を持つ天才となります。
 
 知識を得ることに楽しみを見出す反面、それまで友人だと信じて疑わなかった仕事仲間に騙されていたことや、母親に捨てられた過去など、知りたくなかった事実の意味が理解できるようになります。

 チャーリイの受けた手術は一時的に知能を発達させるものの、ピークに達するとやがて失われ、元の知能よりも下降してしまうという悲しい結果をもたらすというお話です。


 知的障害だからといって本人にとって不幸ということはないし、天才となっても全く幸せそうではないし、チャーリイの物語は、人の能力や人生について考えさせられました。

 チャーリイが天才となったとき、周りの人を見下したり、高い知性に見合った社会性が追いつかず、孤独になっていくのですが、この状態、どこかアスペルガー症候群の人の性質に似ているところがありますね。


 ずっと以前に、文藝春秋にダニエル・キイスさんと宇多田ヒカルさんの対談が掲載されていて、そこでキイスさんの人柄を知ったのですが、当時キイスさんは70歳代前半でしたが、人に対してとても興味のある方なんだなぁと思いました。
 
 孫ほどに歳の離れた宇多田ヒカルさんに対して、宇多田さんをアーティストとして尊重している話し方をしているように感じました。
 キイスさんは、宇多田さんが音楽を書きはじめるようになったきっかけを聞いたり、いろいろな質問をするのですが、私はこんなに人に対して質問をする70代のお年寄りに会ったことがなかったので、そのときの対談はとても新鮮な気持ちで読むことができました。

 作家というのは、人物にリアリティを持たせて世界を描く仕事だと思うのですが、キイスさんは「アルジャーノンに花束を」のチャーリイを描くときも、知的障害者の視点をとてもよくとらえています。

 知的障害者が身近な存在である人にはわかることだと思うのですが、彼らの行動には、一見意味がないように見える行動でも、過去の行動と共通性があったり、同じ場面で見られる行動であったり、その行動に対する理由が見えてきたりしますね。

 ダニエル・キイスさんも、そういうことがわかる人なのだろうなと、なんとなく思っています。

 キイスさんの新作がもう読めないかと思うととても寂しいです。


アルジャーノンに花束を
アルジャーノンに花束を


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 アスペルガー症候群の子を育てている主婦です。療育や幼児教育に関心があり、読書の幅を広げています。

現在千葉県に住んでいます。出身は静岡県です。

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