昨日のNHK EテレのハートネットTV は「頼り・頼られ・また頼る -独居老人と悩める若者の奇妙な共生関係-」というテーマでした。
80歳の水原和美さんは鳥取市内で雑貨店「ラスタ」を営んでいます。
店員として雇った29歳の西川祥之さんと、昨年の10月から一緒に暮らしています。
水原さんは「おばちゃん」と呼ばれ、西川さんは「音吉」と呼ばれています。
家事のほとんどをこなすのは音吉さん。
音吉さんは水原さんの入れ歯も毎日洗います。
二人の関係は家族そのもの。
水原さんは13年前に夫が先立ち、子供が二人いますが、東京で就職し、それぞれ家庭をもっています。
水原さんはずっと一人暮らしでした。
元々は夫がやっていた薬局の店舗を、夫亡き後、雑貨店「ラスタ」へ改装し、16年経営しています。
ラスタ店内はレゲエの音楽とエスニック雑貨と水原さんのマイペースな人柄が調和しています。
そこは悩める若者にとっても居心地のよい空間で、水原さんに相談をしている場面も見られました。
もちろん、音吉さんも「悩める若者」の一人です。
水原さんと同居し、ラスタを手伝う音吉さんは、今までアルバイトや派遣の仕事を転々としてきましたが、派遣先で頑張って正社員の誘いを受けても、事業不振で話が立ち消えとなり、路頭に迷うことになります。その後も料理人を目指したりしましたが、それもうまくいきませんでした。
そして半年前、人生に迷った音吉さんを、水原さんは住み込みの店員として雇うことにしたのです。
お店の常連で、音吉さんとも親しい鈴木ゆうたさんとのやり取りが印象的だったのですが、鈴木さんが水原さんに相談をすると、水原さんが「アドバイス」をしてくれて、「ああしろ」、「こうしろ」とは言わない言い方が話しやすいということでした。
「聞くか聞かないかは、あなたしだい」と言う水原さん。
アドバイスはするけど、「実践しても、しなくてもいい」というスタンスの話し方は、高齢者には珍しいように思います。
若い人相手だと、「こうすべき」と決めてかかるような話し方の人が多いのではないでしょうか。人生の先輩としての目線で。
レゲエや雑貨とともに、若者に愛されている水原さん。
私も、娘とのやり取りで、アドバイスの仕方には気を付けようと思いました。
先日、AKB48の川栄李奈さんと入山杏奈さんがのこぎり状の刃物で切りつけられる事件がありましたが、私は犯人の梅田悟容疑者について話す、母親や伯父のことが気になっていました。
24歳の成人に対して、親が責任を負うのはおかしい、というのが世間の論調ですが、責任の所在の話は置いておいて、子供の人格形成に親や家族は何らかの影響はしていると思います。
母親と伯父が話したことの中に、「大人しい子」や「何を考えているかサッパリわからない。しゃべらないから」という言葉がありました。
断片的な情報しか聞いていないので断言はできませんが、梅田悟容疑者は「大人しい」のではなく、「伝えるのを諦めてしまった」人のような気がしています。
伝わらない経験を重ねていって、やがて人に伝えるのを諦めてしまった人。
社会的に大きな事件を起こしても、世間に対して伝えることは何もなく、「むしゃくしゃしてやった」。
本当は、誰か(母親か伯父あたり)に対してに大きな「意思」が働いているような気がしますが、世間に伝えてもしょうがないと思っているのでそこは伝えずに「むしゃくしゃ」という誰を責めるでもない言葉。
水原和美さんと音吉さんのドキュメンタリーを見て、若者と話をすることの難しさと大切さの両方を感じました。
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