村上由美さんはアスペルガー症候群の当事者としてNHK「あさイチ」や Eテレ「ハートをつなごう」などいろいろなメディアで何度か拝見したことがあります。
村上由美さんは発達障害当事者で言語聴覚士でもあるという珍しい存在です。
そして1970年代生まれでありながら、幼少期に療育を受けて育ったというのも珍しいことだと思います。
1970年代は高機能自閉症やアスペルガー症候群といった概念がまだ世間に浸透していなかったので、この時期に生まれた知的障害のない発達障害当事者のほとんどは療育を受けていません。
村上由美さんのお母さんに心理学の心得があったことで、早くからわが子の発達の様子に違和感を感じ、知り合いの心理士に相談するに至り、自閉症であるということがわかりました。
紹介された心理士から週に一度のプレイセラピーを受けたり、由美さんのお母さん自身も試行錯誤で療育を実践します。
そのおかげか、大人になった由美さんは、アスペルガーの診断基準に当てはまらないことが増えたそうです。
もちろん、障害がなくなったわけではないけれど、「周囲と折り合いをつけて暮らすすべを、訓練によって身につけただけ」と村上さんは述べています。
村上由美さんの著書「アスペルガーの館」のはじめの部分は幼少期のことなどが書かれていますが、あとは言語聴覚士となるための道のりや、現在、夫であり、同じアスペルガー症候群の当事者である村上真雄(しんゆう)さんとの出会いや結婚生活などが書かれていました。
夫の真雄さんとの暮らしについてのくだりが、特にうなずけるものが多かったです。
「自分の中にない感覚はバッサリと切り捨ててしまう」というところなど、私の夫にそっくりです。
なので私が病気をしたり、体調の悪いときには夫が鬼のように見えるときもあるのですが、想像力のなさが「相手のことを察する」ということを妨げているようです。
ただ、真雄さんは家事を率先してやる方なので、そこは私の夫と大きく違います。
私の夫は頼むと食器を洗ってくれたりはしますが、スポンジを使って洗わず、「お水にさっと通して終わり」という洗い方なので、汚れが落ちていない食器をどんどん食器乾燥機の中に入れていきます。
そうすると食器乾燥機の中も汚れ、最終的に私が食器の洗い直しと食器乾燥機の掃除までやることになり、仕事が増えるわけです。
洗濯物を干してくれたこともありますが、洗濯物を広げて干すことはしないので、洗いたての丸まったままのタオルを洗濯ばさみではさむだけ。
服もハンガーにかけたりもせず、丸まってシワシワのまま洗濯ばさみではさんでおしまい。
結局、私が干しなおすことになります。
食器の洗い方や洗濯物の干し方について、今までに3回は説明しましたが、自分のやり方を頑なに変えようとはしないので、もうあきらめています。
私は40度の熱があろうと、家事ができる人が他にはいないので、いつも通り、やるべきことはやらなくてはなりません。
体調が悪くても、優しい言葉をかけてもらえるわけでもなく、しんどい体で家事をやりながら、「結婚とは一体なんなんだろうと」と思ったり、情けない気持ちになってくるので、「絶対に体調は壊したくない」と切に願って風邪薬は早めに飲むようにしています。
「アスペルガーの館」に話を戻しますが、村上由美さんは真雄さんとの暮らしをよいものに改善しようと、いろいろな工夫を考えておられますが、それを素直に受け入れる真雄さんもステキだと思います。
結局、療育にしろ、生活改善にしろ、「今の状況をよくしたい」と思って素直に行動できることが一番、大切なのだと思いました。
アスペルガーの館
関連記事(1):自閉症スペクトラム指数(AQ)とは?簡単に自己診断できる?幼児は?
関連記事(2):アスペルガー症候群の男性と付き合うには
関連記事(3):女の子は男の子よりも自閉症の診断が確定しにくい(ロンドンカレッヂの研究)
読んで下さってありがとうございます。よかったらシェアをお願いします。
http://ryoiku.mamagoto.com/hattatudokusyo/murakamiyumiasyakata村上由美著「アスペルガーの館」を読んで