発達障害児の療育ブログ

アスペルガー症候群の子（さや）を育てています。３歳のときから療育しています。アスペルガー症候群・自閉症・ＡＤＨＤなど発達障害に役立つ情報の提供を目指しています。 ABA・TEACCHなどの方法のほかに、効果的だったことも紹介します。

03/13

Thu

2014

息子は生まれなければよかったと語る、米国小学校銃乱射事件容疑者の父親について

容疑者（Adam Lanza）がアスペルガー症候群だったということで、以前このブログの記事にも書いたアメリカの小学校で銃乱射事件。

　20歳の青年が多くの人を殺害した事件ですが、容疑者の父親（Peter Lanza）が、最近ニューヨーカー（New Yorker）誌のインタビューに応じました。
　父親がインタビューに応じるのは事件後初めてということで、多くのメディアが注目していたようです。

　この事件で、母親は息子のランザ容疑者によって殺されており、ランザ容疑者も自殺していることから、事件の背景を詳細に語れる人というのは父親しかいない、という見方がされています。

　しかし、父親も息子と別居する生活が何年も続いていたので、事件直前のランザ容疑者の気持ちや様子を知ってはいません。
　父親は、事件が起きた１年前の2011年に再婚しており、新しい家庭を築いています。

　「死人に口無し」と言いますが、ランザ容疑者のことを語る父親の言葉に、私は不信感を覚えました。

　「息子の父親であることが、私を打ちのめしている」
　「息子が生まれないことが、世界のために最もよいことだ」
　「息子に会っていたら、私も殺されていたに違いない」
　
　この発言から、ランザ容疑者の父親は、息子に対する愛情が一切なくなっているように感じられます。
　自分も被害者の立場にすり替えて、「息子の父親だから自分も追い詰められている」という発言。
　ランザ容疑者の父親は、我が身のことしか考えられない自己愛の強い人なのでしょうか。

　
　ランザ容疑者は１３歳でアスペルガー症候群と診断されたと語られていますが、幼少期から感覚過敏の症状に悩まされており、初語も遅かったそうです。

　もっと早くに診断を受け、幼児期に療育を行ったり、適切な対応をしていたらランザ容疑者は殺人を犯すような人間に成長していなかったようにも思いますが、どうでしょうか。

　父親は、息子が幼少期から社会に適応できない傾向を持っていて、年齢と共にそれがエスカレートしてきたことを語っています。
　
　神経症的な潔癖さ故にドアノブを触ることを嫌っており、母親がドアノブを触れることも許さなかったそうです。
　ランザ容疑者は母親に様々な制限を設けていたようですが、それを知って、私は自分の娘にも共通したことを思いました。

　私の娘が３歳のときに医師にアスペルガー症候群と診断されたのですが、その時、医師は「アスペルガーの子は母親を思い通りにしようとするから甘やかさないで」と言いました。

　私はその言葉を受けて、娘との関係や距離感には注意を払うようにしていますが、感情の起伏の激しいタイプのアスペルガーの子は、母親に対する要求が確かに多いように思います。

　私は娘の要求を妥当なもの以外は叶えないようにしていますが、そこには娘の癇癪との戦いがありました。
　戦いのない子育てはそのときは楽でも後からその代償が必ずあるような気がしたので、娘の癇癪に耐える日々が続きました。

　そしてたくさんの癇癪の日々が過ぎた後、娘は以前ほど、私に対して癇癪で要求を通そうとはしなくなりました。
　父親に対しては「暴れて泣けば要求が通る」ので、今でも暴力をふるったり、暴れたりしていますが。

　このへん、夫婦で子供の対応に一貫性を持たせるのは難しいですね。
　まあ、娘は私と過ごす時間の方が圧倒的に多いので、私との関係が良好なら、それでよいと思います。
　
　臨床心理士の奥田健次先生も、親子関係の話はいろいろな書籍で述べていますが、親が子供の家来のようになってはいけませんね。
　アスペルガーなど、自閉圏の子に対しては特に。
　成長してからの行動障害が、より一層ひどくなるのではないでしょうか。

　
　親子関係の話に飛びましたが、長い間別居し、再婚もしている父親のコメントよりも、ランザ容疑者の母親からの言葉を聞いてみたかったですね。
　容疑者と多くの時間を共にしたのは、母親の方なので。

　亡くなってしまったのが本当に残念です。