日本のメディアの海外取材はやりすぎ。難病(プロジェリア)の少年(ミヒルくん)の怒り
2014年7月15日のWEBRONZAの記事で、プロジェリアという難病の少年(ミヒルくん)が、著書に日本の取材班への怒りを綴っていることを知りました。
自国ベルギー、フランス、ドイツ、イギリスなど、世界のドキュメンタリー番組に出演したミヒルくんですが、日本の取材班にはほとほと困らされたと語っています。
ミヒルくんの病気は、全身の老化が異常なスピードで進行する「プロジェリア」です。
世界で確認されている存命の患者数は現在、40名ほどだそうです。
平均寿命は僅か13才。
ミヒル君家族は、兄と妹で揃って罹患していることもあり、世界のメディアの注目を浴びました。
日本のテレビ取材班は、ミヒルくんの「涙」を撮ろうと必死だったそうです。
取材当時、プロジェリア平均寿命の13才に近づいているミヒル君を、「やがて来る死に怯えている少年」として描こうとしていました。
「きみには未来はないよね」という問いかけをしたり、ミヒルくんの祖父のお墓に連れて行って、「もうすぐここに入るね。大好きだったおじいちゃんに会える」など、心ない言葉ばかりをミヒルくんに投げかけます。
ミヒルくんの目に涙が溢れてきたら、ズームアップして撮る取材班。
ミヒル君のお父さんはとうとう爆発し叫びます。
「もう止めだ!偽りの姿は世間に見せたくはない。
私たち家族は、悲しみに打ちのめされているわけではないのです。
もし、それが気に入らないのなら、さっさと帰ってくれ!」
ミヒルくんに涙を出させるために、手段を選ぼうとしない日本の取材班。
ほんとうに非道ですね。
あらかじめ「台本」を用意して、それ通りに取材した方が時間とコストの節約になるのでしょう。
ドキュメンタリーは真実を語るべきだし、過剰に演出しなくても、「自分とは異なる誰かの人生」を見て、感じることが人それぞれあってよいものなのではないでしょうか。
以前に比べ、テレビ番組ではテロップの文字がたくさん出て、わかりやすいといえばわかりやすいのかもしれませんが、行間を読むというか、想像を働かせて見るような感覚がなくなってきていているようにも思います。
人は想像する生き物なので、あらゆる感情に説明をつけなくてもよいし、私は、ミヒルくんの日常の何気ない表情を見たかったです。
このブログでは、発達障害に関するドキュメンタリー番組の感想などもよく書いていますが、できるだけ、取材対象の方の本当の気持ちを読み解いていきたいな、と思いました。
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